福岡高等裁判所 昭和26年(う)2403号・昭26年(う)2404号 判決
記録により原判示第三事実の証拠に供せられた原審証人岩崎一美の証言について検討するに、論旨摘録の検察官の右証人に対する主尋問が誘導的ともみられ、弁護人の反対尋問により所論のように証言していることは相違ないけれども、原審は公判廷における状況から判断して同証人の主尋問の結果を信用し、反対尋問による供述は爾後の判断に過ぎないものと見たものと解することができる。而して証人の尋問において誘導的尋問が正しい尋問の方法でないことは勿論であるが、かゝる尋問がなされたからとて、その供述が常に任意性を欠くものとはいえないし、必ずしも直ちにその証拠能力を失うものとは速断し得ず、訴訟指揮権は裁判長に属し、尋問の結果についての証明力の有無は裁判官の自由な心証によつて決せられるのであるから、該証言を罪証に供したからといつて、採証の法則に反するものというを得ない。